「春土用」とは旧暦の3月のことで、2021年は4月17日(土)~5月4日(火)までの期間を指します。土用の期間中は、陰陽道において土を司る神とされる「土公人(どくじん)」が支配すると言われていました。このことから土用の期間中に土を動かすこと、具体的には造作(家を建てること)、修造(つくろい直すこと・修理・修復)、柱立(家の建築で、初めて柱をたてること)、礎を置くこと(礎は柱の下に置く土台のこと)、井戸掘り、壁塗りなどが、いっさい凶とされています。そうは言っても上記にあるような仕事をする人にとって1年のうちで約5分の1の期間は何もすることができないのでは商売上がったりになってしまうので、土用の期間中に間日を設けて文殊菩薩のはからいにより、全ての土公神が清涼山に集められ、土を動かしても何も起こらない(祟りがない)とされました。
春土用の間日は、「巳、丑、酉」の日のことで4月19日(酉)、27日(巳)、28日(丑)、5月1日(酉)の4回あります。春土用は五行説にあてはめると「木」が配されています。春を乗り切るには、木のちからを弱めなくてはいけません。そのため、木と相剋関係にある「金」のちからを利用します。金性の季節は秋ですから、春土用と秋土用が相剋の関係になります。秋土用は旧暦9月で戌月なのですが、春土用の辰月に戌月があるわけもなく、代わりに戌の日が利用されました。そして、金性の色は白ですから「白い食べ物」となります。また、「戌」の頭文字をとった、「いの付く食べ物」も良いと言われています。
今年の戌の日は4月20日と5月2日です。「い」のつく食べ物は、イカ、いわし、いくら、いちごなど探すと結構出てきます。白い食べ物は、大根、豆腐、ごはんやお餅も入ります。弊社直営店で言えば「白ホルモン」は、春土用に食べると良さそうです。皆様のご来店をお待ちしております。
干支にまつわる言葉で丑年は「つまずき」とされています。「つまずきの年」となるのか、ならないのか。そうならないために、暦を読んで一歩一歩慎重に着実に歩んでいきたいものです。土用の期間は何かとおとなしくして過ぎるのをじっと待つ期間ですが、仕事上・やむを得ずなどで、どうしても土いじりや新しいことをやりたいときは「間日」をうまく利用しましょう。土用の期間は、今の自分の身の回りのことやものを整えて、土用が明けたときの準備をしておくのが良いですね。皆様も暦をうまく使って良い日々をお過ごしください。