「清明(せいめい)」は、季節の指標である「二十四節気」の5番目の節氣です。2021年の清明は、4月4日(日)です。「すべてのものが清らかで生き生きしている」という意味で、2021年は清明の次の穀雨の前日までの期間である4月4日(日)~4月19日(月)を表します。あまり馴染みのない「清明」ですが、中国や沖縄では大切な行事の日で「清明節」「清明祭」と呼ばれ、お墓を掃除して先祖供養をする、お盆のような行事です。空は澄み、草花が活気づく清々しいこの時期は、春の息吹を感じながらの散策がおすすめです。
中国、台湾、香港などの中華圏では、春分の日から15日目(清明に入る日。毎年4月5日頃)は「清明節(せいめいせつ)」と呼ばれる祝日になっており、この日はお墓を掃除して墓参りをするため、「掃墓節(そうぼせつ)」とも呼ばれています。日本でいう「お盆」にあたる日です。また、沖縄では中国からこの行事が伝わり、清明に「シーミー(またはウーシーミー)」と呼ばれる清明祭が行われます。清明祭では、先祖のお墓に親戚一同が集まり、お墓掃除をしてお供えをしたあと、お墓の前で宴会をします。そのため、沖縄のお墓にはシーミーを催すスペースが設けられているところが多いです。私も沖縄を初めて訪れたときは、墓の大きさに驚くとともに墓の前で宴会する風習があることに驚きました。明らかに本州のお墓とは違うと感じました。
清明の頃には、南東から「清明風」と呼ばれる穏やかな風が吹いてきます。これは、冷たい北風の季節が終わり、春の到来を知らせてくれる風です。この時期になると晴れの日は暖かくて湿度も低く、とても過ごしやすくなります。是非、木々の緑や色とりどりの花を眺めながら、散策を楽しみましょう。また、この頃のやわらかく静かに降る雨は、「発火雨(はっかう)」や「桃花(とうか)の雨」などと呼ばれています。桃の花に降る雨が、遠目には火を発しているように見えることが語源だそうです。雨の日でも濡れた若葉の緑が清々しく見え、気持ちのいい季節です。気候の良い春の時期を迎えて郊外を散策する日であるため、「踏青節(とうせいせつ)」と呼ばれることもあり、凧揚げなども行われることが多いそうです。
清明節の前日(2021年は4月3日。地域によっては二日前)は寒食節(かんしょくせつ)といって、火気の使用が禁じられて冷食(れいしょく=煮炊きしないものを食べること)をします。この寒食節も伝統的な祝日で、百五節とも呼ばれます。沖縄の清明祭は、18世紀に中国から伝わったと言われています。これは中国の清明節と同様に、祖先のお墓にお参りをして掃除をし、親類一堂が墓前で餅、豚肉料理、お菓子、果物などの食事をします。雰囲気としては、やはりピクニックのようなもので、中国の清明節とよく似ています。首里地方では御清明(ウシーミー)と呼ばれ、沖縄人(うちなーんちゅ)はお盆やお正月には帰らなくても、シーミー、ウシーミーに帰省する人は多いと言われています。