良いお年を

「良いお年を」とは、「来年を良いお年として迎え入れられますように」という気持ちを込めて言う言葉です。新しい一年を迎えるにあたって、年神様に気持ちよく来ていただけるように、大掃除をしたりすることで「良い一年を迎える」という考え方があります。また、江戸時代の日本では、商品やサービスの売買は大体がツケ払いをしていたので年末にその精算をするために奔走していたといいます。ツケを全て精算し気持ちよく一年を迎え入れるという考え方です。江戸時代の庶民の人は、そんな様々に忙しい年末をお互いに頑張り、良い一年をお迎えできるようにという意味を込めて、「良いお年を」と言い合っていたそうです。

「良いお年を」を使った表現で、「良いお年をお過ごしください」という言葉を聞いたことがありますが、これは間違った表現です。一般的に「良いお年を」はよい一年を迎え入れるという言葉で利用するので、最も適当な表現とは言えません。「良いお年を迎え入れてください」という年末に使う言葉なので、年明けに使うことはありません。年明けは、忙しかった12月も過ぎ、良い一年を今年も迎え入れることができましたねという気持ちを込めて、「新年あけましておめでとうございます」という言葉を使いましょう。

「良いお年を」は、来年を迎え入れる前の、年末に使うのが正しい使い方です。いつから使うのが良いという決まりはありません。そのため、来年になるまで会わない人には「良いお年を」と言っても正しいです。しかし、早すぎるのも相手に違和感を覚えさせますので、一般的には、12月の中旬を超えて使うのがよいとされます。ちなみに、大晦日はもう迎え入れる準備も整っていると考え、「良いお年を」というよりは「来年もよろしくお願いいたします」というのが適当です。

「良いお年を」と言われたときには、「良いお年を」と答えるので問題ありません。ちょっと改まった言い方で「お迎えください」とつけてもいいでしょう。喪中の人へや自分が喪中の時でも、使っても問題ではないですが、他の挨拶を使うのが良いようです。喪中である場合は、新年をおめでたいと考えて迎えるのではなく、しめやかに迎えるのが良いとされています。そのため、「良いお年をお迎えください」というより、「来年もよろしくおねがいします」と無難な表現を使うのが良いでしょう。年の瀬が近づいてくるとビジネスシーンでも「良いお年を」という挨拶を耳にすることがあります。この言葉の意味を正しく捉えて使うようにしましょう。