冬至とは、一年で最も昼間が短くなる日ですが、この日を境に太陽が出ている時間が長くなっていくため、かつては冬至を一年の始まりの日としていました。また、日に日に日照時間が短くなっていたものが、この日からまた太陽のちからが蘇っていくので、昔の人はこれを「一陽来復(いちようらいふく)」と言って、太陽の復活を祝っていました。このお祝いは日本だけでなく、世界中で行われています。冬至の日時は毎年微妙に変わります。昨年は12月22日でしたが、今年は12月21日が冬至にあたります。冬至が一年で最も昼間が短くなる日であるのに対して、一年で最も昼間が長くなる日が夏至です。冬至の日没は16時半頃ですが、夏至の日没は19時頃となっています。冬至の日の出は7時前ですが、夏至の日の出は4時半頃となっています。
冬至は二十四節気の1つでもあります。この日はゆず湯に入ったり、カボチャを食べたりするというご家庭も多いのではないでしょうか。古来、黄色は魔除けの色とされていました。そこで栄養価も高く、黄色いカボチャを一年の区切りである冬至の日に食べることで無病息災を祈ったのです。また、「ん」のつく食べ物を食べると幸運につながるからという説もあります。カボチャは南瓜(なんきん)ともいうので、これに当てはまります。その他、ニンジンやれんこんなど「ん」のつく食べ物を7種類食べると魔除けになるとも言われています。加えて、黄色いゆずを入れたお風呂に入ることで、邪気を祓うという意味が込められています。ゆずには血行促進や鎮痛成分も含まれており、さらに風邪予防も期待できるというのも理由になっています。冬至を「湯治」に、ゆずを「融通」にかけて「融通をきかせて世間を渡れますように」という願いが込められているとも言われています。ゆず湯とカボチャ以外にも、冬至に関する風習は様々なものがあります。身体にたまった砂(毒素)を出してくれると考えられていたこんにゃくを冬至の日に食べることで、一年分の汚れを落とし、身体をきれいにして新たな一年を迎えるという意味が込められています。赤い色をしている小豆粥は、鬼(悪霊)を祓う力があるとされていました。そこで冬至の日に小豆粥を食べて、邪気を祓っていたのです。もともと中国で行われていたこの風習ですが、日本にも伝わって今でもこの風習が残る地域もあります。
太陽が復活する日でもある冬至は、農業にとっても非常に重要な日でした。そのため、農業に関わりの深い言い伝えが残されています。「冬至の日が晴れだと翌年は豊作になる」「冬至の日が雷だと翌年は雨が多い」「冬至の日が雪だと翌年は豊作になる」「冬至の日に南風が吹くと翌年は地震や大雨など災害が起こる」などがあります。かつては冬至に木戸口や炉で火を焚く習慣もありました・・・信州ではナスの木を焚く風習もあります。冬至日が旧暦の11月1日にあたることを朔旦冬至(さくたんとうじ)といい、喜ばしい兆しとして宮中では祝宴が行われていました。
日本に伝統的に伝わる風習でもある冬至の意味や由来を知ると、より日本の文化を楽しめますね。日照時間が短いと気分も暗くなりがちですが、これから長くなると思えば気分も変わってきます。日本の古い暦では季節の変わり目である冬至の日を新しい年の始まりとしていることがありました。冬至は新しい物事を始めるのにピッタリの日で、仏様や神様のパワーも強まる時期と考えられていました。そのため、冬至に近い年末に参拝をすると、仏様や神様の強い力を承けて大きなご利益を得られると言われています。年末詣の由来は初詣と同じもので、古来日本で行われていた「年籠り(としごもり)」という行事にあると言われています。コロナ禍に関わらず、仏様や神様の力が高まる冬至前後や、年末の掃除や仕事が一段落した12月29~31日頃に参拝するのがベストタイミングだそうです。コロナ禍もあり、初詣の分散化、既に来年の初詣が始まっている神社もあります。年末詣は初詣と比べて人が少なく空いているので、落ち着いた空間でゆっくりと参拝してみてはいかがでしょうか。