夏は草刈りの依頼が頻繁に入り、弊社の草刈り隊も大忙しです。水田の畦や土手の草刈りの作業は、水稲などの生育障害を起こすカメムシの侵入を遮断するという目的のために行われるものです。中山間地域では耕地面積の1割から2割が畦畔と言われています。草刈りは背丈の高い植物の侵入を抑える効果がありますが、それを繰り返すことで既存の植物群落の草丈そのものを抑えることができます。刈っても、刈っても、すぐに草が生えて草茫々になるので草との格闘が大変な重労働です。草刈りを行わないと病害虫の発生のもととなるので春から秋まで定期的に行う必要があります。現状では刈払機による管理が主体ですが、傾斜40度を超える法面での作業で転倒・転落の危険性があり、農作業事故の約2割が草刈りの作業中に起こっています。おまけに藪の中にはハチがいたり、蛇がいたりで、咬まれる危険性もあります。ロボット掃除機「ルンバ」のように、自律走行して雑草を刈れないかという要望は、広い分野で確実な需要が見込めるとして様々な企業や行政機関などが開発を進めており、現状では、平地や丈の短い雑草などの特定の条件で使用できる草刈り機も実用化されています。動画は、当社所有のラジコン操作で斜面でも草を刈れる草刈り機を動かしているものです。
無人で自律走行する草刈り機の開発では、農水省による開発プロジェクトがあり、農業人口が不足している中、負担が重い上に時間がかかる除草作業の効率化を促したいという意向で、無人化・自動化が最終の目標となっています。需要が大きいので早く商品化してほしいところですが、草茫々な中、丈の長さや様々な草種があること、雑草を刈っているつもりが、石にあたって故障してしまわないよう、接触物が「雑草」か「障害物」なのかを判断しなければならないという課題などがたくさんあると思います。草種によっては難しいものもあるかもしれません。しかし、夏の暑い時期の草刈りほど大変なものはないと思うのでなんとかしてほしいところです。