カレンダーには、日付を表す数字や曜日だけではなく、いろいろな情報が載っています。一般的によく見聞きするのは「大安」や「仏滅」などの「六曜」、宝くじ売り場で幟が時々立っているのを見かける「一粒万倍日」が有名なのではないでしょうか?では「鬼宿日」はいかがでしょうか?読み方は「きしゅくび」または「きしゅくにち」です。「鬼」という文字が使われているのでなんとなく不吉なイメージを抱いてしまいますが、鬼宿日は「二十八宿(にじゅうはっしゅく)」のひとつで「鬼宿」にあたる日のことを言います。二十八宿とは、天の赤道(地球にある赤道を天球に延長したもので、恒星や惑星などの位置を決める基準になるもの)に沿って1日ごとに選ばれた、月が宿る恒星のことです。月の1周を28個に分け、この区分を宿(または星宿)と呼び、それぞれに星座名をあてはめました。そうすることで太陽の位置を推測し、季節を正すために使われていました。中国の周(紀元前1046年頃~紀元前256年)の時代が起源といわれ、天文学のために用いられていました。その後、中国からインドへ伝わり、インドで吉凶を知るために用いられ、唐の時代(618年~907年)に中国へ逆輸入され、日本にも「宿曜経(すくようきょう)」として伝わってきました。
基本は、天の4つの方角を守るとされる四神(東:青龍、南:朱雀、西:白虎、北:玄武)があり、それぞれに7宿ずつ配当しており、横浜中華街の4つの門も二十八宿に基づいて同じ名称が付けられています。日本では7~8世紀の高松塚古墳やキトラ古墳にも二十八宿図が、四神とともに壁画や天井に描かれています。鬼宿は南の朱雀にあたります。鬼宿日は、鬼が宿にいて、外を出歩かないといわれ、鬼に邪魔をされず、何事をするにも良い吉日とされています。なぜ鬼宿日が吉日なのかというと、お釈迦様が生まれた日が鬼宿日だったからという説が有力です。そのため、二十八宿の中では最上の吉日が鬼宿日と言われ、二十八日周期で動いています。二十八宿は、その日の吉凶を知るだけではなく、生年月日を当てはめて占いに用いることもあります。鬼宿日は、何事をするにも良い吉日とされていますので、宝くじ購入や新しい財布を使い始めるなど金運に関する行動を取るのも良いでしょう。ただし、結婚や入籍、結納など婚礼関係だけは「凶」です。それはなぜかというと、鬼宿日は鬼が宿にいる日なので、「宿」を「家」と考えると、結婚などは、婚家に嫁入りすることなので、「嫁が家に入る」ということになります。鬼が家の中にいる鬼宿日に嫁入りしたら、鬼と嫁が鉢合わせしてしまうからだと言われています。気になる場合は、お見合いなど婚姻につながることは避けたほうがいいでしょう。
鬼宿日も、六曜と一緒で、科学的根拠はなく迷信と言われています。気にしない人は全く気にしませんが、気にする人は大事な日のスケジュールを決めるときなどに大安や鬼宿日をもとに決めるのを見かけたことがあります。六曜は、日の吉凶に関し陰陽道や民間信仰で、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の六種の日でよくカレンダーに記載されており、馴染みがあります。二十八宿は、六曜より日にちを選びやすいというメリットがあります。
2020年のこれからの鬼宿日は以下のとおりです。
6月26日(金)
7月24日(金)
8月21日(金)
9月18日(金)
10月16日(金)
11月13日(金)
12月11日(金)
六曜では今日6月26日(金)は仏滅ですが、二十八宿では鬼宿日です。全く正反対の日となっていますが、仏滅でも鬼宿日なら安心できる日もあるのですね。岩手県は鬼伝説があり、北上市には「鬼の館」なる鬼のテーマパークがあるくらい、鬼と縁のある地域なので「六曜」より「鬼宿日」なのかなと思いました。鬼宿日もより良い日を選ぶためのひとつの考え方だと思うと良いのかも知れませんね。