強飯式(ごうはんしき)をご存知ですか?毎年4月2日に日光の輪王寺で多くの人が参加や見物に行くなど、縁起と人気がある行事として賑わっています。今年は新型コロナウィルスの影響で中止だそうですが、一度は見に行きたい行事です。「強飯式」は、日光の祭礼行事で「日光責め」とも言われています。
特別な巨大茶碗にごはんが山盛りに盛られて出てくるのですが、そのごはんの量が笑ってしまうような量(お米にして5kgほど)です。それを「1杯、2杯にあらず!75杯を残さず食べろ!」と言われ、その名のとおり、「喰え喰え」とご飯を「強いる」儀式なのです。昔は、田舎の婆ちゃんの家でごはんを食べると茶碗1杯では許してくれず、最低でも2杯3杯は食べさせられたことを思い出します。
始まりは平安時代に遡り、山で修行を行い、お供え物を持ち帰っていました。ご本尊にお供えをしていましたが、このときに里の人たちにも分けたのが始まりとなります。山伏のような姿の僧侶が執り行う「強飯式」。流れとしてはお経が始まり護摩がたかれる「三天合行供と採灯大護摩供」から始まり、「強飯頂戴の儀」へと行きます。
「強飯頂戴の儀」では、最初に巨大な杯に、お酒(お神酒)を注がれて「飲み干せ!」といわれます。次に日光の特産の菜膳が並べられます。そして巨大なお椀のご飯が出されて「1杯、2杯にあらず!75杯を残さず食べろ!」と言われます。「強飯頂戴の儀」の後、舞台から境内に来た参拝客に向かって「縁起物」が撒かれます。
「強飯式」で食べる人のことを「頂戴人」と言いますが、江戸時代には身分の高い人が競って参加していました。この儀式に参加して「御札」を授かるとご利益が得られて「七難即滅・七福即生の現世利益疑いなし」と言われていました。基本は僧侶が頂戴人を務めますが、将軍家の名代や10万石以上の大名だけが参加できたと言われています。この儀式に参加することは藩の名誉とされていたそうです。
日光では、別日程で子供向けの強飯式が神社で開催されています。大人と同じように山盛りのご飯や里芋などを「残さず喰え!」と、食べることを強いられますが、お茶碗のサイズは子供向けだそうです。日光の伝統行事「強飯式」は長い歴史があるにも関わらず、全国的には一般的ではないかもしれません。米の消費量が落ち続けている昨今、ごはんは太るという思い込みを払拭し、ご家庭でも縁起をかついでプチ強飯式をやってみてはいかがでしょうか!?