毎月の末日(みそか)が、「蕎麦の日」だということをご存知でしょうか?昔、江戸の商人が毎月、末日に縁起物としてそばを食べていたことに由来しており、日本麺業団体連合会が制定しました。12月の末日、大晦日に年越しそばを食べる習慣がありますが、大晦日に限らず、月末日にそばを食べるのは、細くて長いそばのように、身代(しんだい=家の財産)が長続きしてほしいという願いに端を発しているようです。
多くの日本人に食され、最近は外国人でも愛好家の増えている日本食の代表ともいえる蕎麦。本格的な手打ちの高級店から、気軽に食べられる立ち食い店まで、嗜好や予算のニーズに応じたそば店が各地で営業されています。しかし、本来、そばには地域性があり、その地域性の主な理由として、原料(ソバ)の産地が挙げられます。
現在は、蕎麦の主要原料である「ソバ」も、「小麦」も、その多くを輸入に頼っていますが、かつては主に北日本、東日本で、また、小麦は西日本で生産、消費されていました。北日本や東日本にソバの生産地が多いのは、気候が関係しています。ソバの発芽の適温は20℃以下であり、また28℃を超えると、めしべの発育が悪くなり、実がなりにくくなります。つまり、冷涼な気候が栽培に適しているのです。加えて、寒暖差(昼と夜の気温差)の大きい地域の方が、良質なソバができると言われています。これらの気温条件によって、ソバは北日本、東日本で栽培されるようになり、生産量も増加していったと考えられます。
輸入原料の増加、国内の交通、物流の発展で全国各地にそば店が点在するようになりましたが、日本三大そば(長野県の戸隠そば、島根県の出雲そば、岩手県のわんこそば)をはじめ、歴史が古くからあり、地域それぞれの食べ方や内容にも差がある日本そばがあります。そば麺の色や太さ、味など、食べる際のおつゆの違いがあるのは有名です。岩手県のわんこそばは、食べたことがある方も多いと思いますが、ひとくちほどの量をお椀に入れて食べ、食べ終わるとまた一口分のそばを入れてもらい食べるという食べ方は有名ですよね。
冷涼で寒暖差の大きい岩手県北上市の気候もソバの栽培に適しており、西部開発農産も良質なソバを栽培しています。自社栽培のソバ、小麦、米を使った「ひとめぼれそば」はそばの豊かな風味と米粉が3%配合された新食感が特徴です。北上市や隣町の西和賀町でもそばで町おこしとばかりに熱心に取り組んでいます。日本全国に名産と呼ばれる日本そばがありますが、地方のそばは、地元のソバを使用していますので一味も二味も違います。手軽に食べられる立ち食いそば店、日本三大そば、知られざる地方の名店そば、老舗系そば店(砂場・更科・藪・東家・一茶庵など)と食べ比べてみるのも面白いと思います!