東北農政局主催の「平成30年度農林水産物・食品輸出促進セミナー」に参加してきました。「青森りんごのグローバル産地づくりについて」と、「九州の香港向け輸出について」の講演があり、参考になる情報も得られました。青森りんごの輸出の歴史は古く、明治32年から始まっています。常に生産過剰の状態であったために輸出せざるを得ない状況になったのですが、今は輸出のおかげで出荷や価格が理想的な状況にコントロールできるようになったとのことでした。九州は自らが輸出業者を介さず輸出に取り組む体制をつくったことで物流コストや中間流通コストを削減し、国内販売価格の2倍程度で販売できるようになり、ボリュームゾーンであるアジア中間層の取り込みが可能になり出荷量が増加したという話でした。この2者の話は行政に頼るのではなく自らが主体的に取り組み、考えながら実践してきた結果です。経産省の農林水産物・食品輸出の支援策は、素材ではなく加工食品に取り組むことで付加価値をつけて商品を輸出し、農家の所得を増やしていくことで活路を開きましょうというものでした。素材だけでは海外勢の価格には勝てません。日本のゆくべき道は、加工商品であるという歴史から考えると日本の農林水産業もその道を行くのが良いと思いました。そのための農商工連携をどう進めるかが重要なカギを握ると思います。米の輸出については(日本と同様に)各国も食糧安全保障上、輸入の割り当て制限・申請という障壁が存在するので非常に難しいという話です。市場で不足しているのは無農薬栽培の米だけという話もありました。農薬使用の農産物は輸出先の残留農薬検査や放射能検査のスケジュールで港に予想外に長く留め置かれてしまうリスクもあります。取引条件は国内同様に海外でも送料を抑えるための最小ロットを確保することは一番の問題点でありますが、輸出の場合は船で運ぶ場合と飛行機で運ぶ場合で相当、違ってきます。そういった諸問題を現在、輸出している人たちから直接話を聞けたのは出席してよかったと思いました。